外生条件は、計算の出発点を定める
シミュレーションでいう外生条件は、計算の外から与える開始情報です。Artivation Forecastでは、陸地の形、高度、河川や海への接続、資源、気温、降水を物理的な制約として扱います。入力にはモデル版、出典、利用可能時点、内容のhashを持たせ、同じ入力から同じ結果へ到達できることを求めます。
現在公開中のPhysical Earth V10は、全球の場所を共通IDで参照するための現代データによる代替です。現代の地形と水系を計算基盤へ載せています。紀元前2000年の環境との差を記録し、次に必要な古気候・古地理の改訂版を特定します。
三つの物理条件と、その先にある因果
地形
標高、傾斜、海岸、河川流域、移動障壁は、居住可能性、輸送費、交易路、都市の結節性へ影響します。水、食料、生産、移動、人口密度などの中間状態を通る式と時間差を使い、影響を計算します。
資源
資源の利用には、発見、採掘、精製、加工、輸送の知識が必要です。設備、技能、エネルギー、組織もそろう必要があります。新しい技術を生成する研究では、材料・工程・能力を分け、検証を通過した候補だけを型付きの因果変更として追加します。
気候
気温と降水は農業生産、疾病負荷、水利用、季節移動などへ作用します。食料と人口の閉ループは実装済みで、2010〜2023年の診断も存在しますが、紀元前2000年から現在までの完全なモデルは未実装であり、これらを歴史精度で再現する段階には達していません。気候帯ごとの生産関数、極端現象、長期変動、社会の適応を段階的に実装します。
人口から文化・技術までを内生に置く理由
人口、制度、文化、宗教、技術を初期表へ固定すると、歴史上の結果を入力へ戻す危険があります。本研究が目指すのは、ニーズ、情報、探索、協調、競争、拡散、制度化が相互作用し、状態や概念が時間の中で生成されることです。名称だけをイベント一覧から出すのではなく、対象、概念、語彙を分離し、どの知識と工程から能力が生まれ、誰へ広がり、何を変えたかを追跡します。
現在の因果モデルには34項目、65本の因果関係、11個の循環関係があります。地形、資源、気候だけを外生条件として区別します。文化・宗教・産業・市場の歴史的な生成は、今後の開発領域です。現在と将来構想の差は、CAUSALとSTATUSで公開しています。
地理を初期条件にする設計は、地理から各状態へ至る因果を明示し、誤差を検証可能な形で残す研究方法です。歴史再現の精度はまだ検証していません。